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Channel: 相木悟の映画評
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『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』 (2014)

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皆大好き、熱き“消耗品”アクション第3弾!



3作目にしてテンション落ちず。物好きなファンを間違いなく満足させるテッパンの快作であった。
本作は、我らがスタローンが盛りを過ぎた古今東西のスターをかき集め、チーム・アクションとして世に放ち、支持をうけた『エクスペンダブルズ』シリーズ第3弾。もうファンにとっては、2年に1度の馴染のお祭りだ。
が、今回、本作が全米で大コケするという、まさかの事件が発生。メル・ギブソンの禊がすんでいなかったのか?海賊版が出回ったせいか?はたまた「もう飽きた」という今さらな意見まで数々の流言が飛び交い、ファンをやきもきさせている。永続を望む身としては、真価を確かめるべくスクリーンへ臨んだのだが…!?

バーニー(シルベスター・スタローン)率いる最強の傭兵集団“エクスペンダブルズ”は、アフリカの独裁国家の囚人護送車から、古株の仲間ドク(ウェズリー・スナイプス)を救出。そのままソマリアに向かい、武器取引を壊滅せんとするも、現場に予期せぬ男が現れる。男の名は、ストーンバンクス(メル・ギブソン)。“エクスペンダブルズ”の創設メンバーにして、かつてバーニーが葬った仇敵であった。ストーンバンクスの反撃に遭い、任務は失敗。おまけにヘイル(テリー・クルーズ)が重傷を負ってしまう。
後日、CIAの大物マックス(ハリソン・フォード)から、正式にストーンバンクスの生け捕りを依頼されたバーニーは、ヘイルの一件もあり、古いメンバーの入れ替えを図るのだが…。

構造はいつも通り、“エクスペンダブルズ”が悪人たちをこらしめる、シンプル・オブ・ベスト。よもやその辺りの妙味に期待して観にいく人はいまいが、個人的には前二作よりストーリーを楽しめた次第である。
消耗品である身に絶望し、悪に走ったかつての仲間を鏡合わせに苦心するバーニー。それが皮肉にも、現在の仲間たちと袂を分かつ決断へと至る。そうして若手チームを結成するバーニーであったが、紆余曲折を経て、大ピンチに。そこで再び別れた仲間が手を差し伸べ、チーム再結成となる展開が熱い、熱過ぎる!超ベタながら、その泥臭さが心地良い。エモーショナルな流れに乗せられ、点数上乗せだ。

メンバーの内輪ウケを狙ったキャラ付けも、ますます研ぎ澄まされている。もはや名人芸ともいえるシリーズの目玉といってよかろう。
まずは、新加入となるウェズリー・スナイプス。本来ならテリー・クルーズのポジションで一作目から登場する予定であったのが、やんごとなき事情(笑)により見送られ、ようやくの登板となった。(その割をくって、テリー演じるヘイルは早々と退場となるのだが、当キャラの顛末に関してもスタローンの母なる愛を感じることができるのでご注目)
もうアバンタイトルから、ウェズリーのいじりネタ満載で、エンジン全開である。それに応えるウェズリーもまた可愛らしい。久しぶりの現場を無邪気に楽しんでいるテンションが伝わってきて、大きな子供状態。そこに『ブレイド』シリーズの重厚さはない。アクションもキレキレである。

続いて、バーニーのもとに厚かましく売り込みにくるマシンガントークの元スペイン外人部隊の傭兵アルゴに扮したアントニオ・バンデラス。これが思わぬ伏兵で、一際笑わせてもらった。イケメンなのにしゃべると残念という、「こういう人いるいる!」的なコメディ・リリーフを見事に好演。かと思えば、テーマ性に関わるちょっとしたしんみりする過去があったりと侮れず、なかなかの儲け役だ。
なんともはや、ウェズリー共に愛らしい50オーバーである。この二人のダメ人間加減と愛嬌が、本シリーズのイコン。色々あって、陽気にがんばっている姿から大いに活力をもらえよう。

大物ハリソン・フォードもノリノリで、実にチャーミング。さすがに動きは少ないが、飛行機のライセンスを駆使(?)した活躍を存分にみせてくれる。前作まで当役のCIAポジションにあった薄情者のハゲはもう用済みだ。

そして、ここにいる誰よりも栄光の座からどん底に急落したスター、メル・ギブソン。DVから飲酒運転、差別発言と、考え得る限りの悪行三昧で完全に干されていた氏が悪役というのが、本作最大のジョークであろう。大衆から見放された氏にも、平等に救いの手をさしのべるスタローンの神々しさよ。
見せ場であるロッキーVSマッドマックスの対決が、ちょっと味気なかったのが悔やまれる。

他、アーノルド・シュワルツェネッガー&ジェト・リーの凸凹爆笑コンビから、ジェイソン・ステイサム、ドルフ・ラングレン、ランディ・クートゥアといったレギュラー陣にも、きっちり見せ場が用意されており抜かりはない。

とはいえ、『ザ・ヘラクレス』(14)で主役を張ったケラン・ラッツ、実際の女子総合格闘技の現役チャンプのロンダ・ラウジー、こちらも元ボクシング・チャンプのヴィクター・オルティス、『ダークナイト ライジング』(12)のグレン・パウエルといったニュー・ジェネレーション4人組を登場させたため、定番メンバーの活躍が削られたのは、やっぱり残念。
数が増える代わりに悪役がギブソンに絞られ、彼のとり巻きに個性の強い悪キャラがいなかったのも物足りない。
あと、ダラダラと続く銃撃戦の多さにも、いつものごとく辟易した。

とまあ、不満は色々あるのだが、キャスト陣の掛け合いに大笑いし、大爆破アクションでストレス発散、全体的にはご馳走さまである。
これだけ我が道をゆくレジェンドたちを演出し、ソツなくまとめあげた若手監督パトリック・ヒューズの健闘を讃えたい。(25キロ心労で痩せたという)
でも、やはりちょっと荷が重かったように思う。ここは当初の目論見通り、メル・ギブソンに監督をしてほしかった。いわずと知れたアカデミー賞監督賞を受賞した名匠である。どんな作品に仕上げたのか、想像すると胸が躍るではないか。
次作はぜひ、メルギブ監督でお願いします。


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