フルーツ&カーアクション、異色の食い合わせを味わうべし!
カラフルなフルーツを身にまとう戦国武者ライダー、爆走する車とメカニカルなライダーが入り乱れる、クラクラする画ヅラながら、しっかりドラマも堪能できる良品であった。
本作は、現役ライダーと前期ライダーがクロスオーバーする冬の劇場版『MOVIE大戦』シリーズ、早いもので第6弾。毎度記しているような気がするが、今一番面白い『仮面ライダー』劇場版といえば、本シリーズで決まりである。
理由を改めて記すと、約30~40分区切りの3幕構成がTVシリーズの体感時間に近くてまとまりがよく、春のお祭り映画のような「スケジュールのあう人だけ集めました」的なセコさもない。近々の2作である分、始まりと終わりの物語の補完という、きちんとした位置付けもあり、同時にダブル・ライダーのコラボという意味でも、純粋に楽しめる遊び心もある。今や、もう本シリーズだけで他の劇場版はいらないのでは?とすら思う。
はてさて、今年の出来や如何に…!?
●『仮面ライダー鎧武 進撃のラストステージ』
人類滅亡の危機を救い、遠く離れた惑星で新たな世界の創造主となった仮面ライダー鎧武こと葛葉紘太(佐野岳)と舞(志田友美)。ところが、二人の星に機械生命体メガヘクスが襲来し、舞を捕え、自らと星を融合してしまう。紘太の反撃もむなしく、その圧倒的な力の前に敗れ去るのであった。続いてメガヘクスは、地球を標的にし、沢芽市に降臨。唯一現存する戦極ドライバーをもつ仮面ライダー龍玄こと呉島光実(高杉真宙)と兄の仮面ライダー斬月こと貴虎(久保田悠来)が、果敢にメガヘクスに立ち向かうのだが…。
放送中は前評判ほど人気にはならなかったが、その様々な要素の詰め込みぶりと凝りようが、いずれカルト作に崇められるだろうポテンシャルを秘めた『仮面ライダー鎧武』。個人的には主役のキャラに愛着を持てず、芯が弱くていまいちノレなかったが、終わってみると「もう一度観直してみようかな…」と、つい惑う懐の深さは否定しようがない。
本編は、オーバーロードとなった紘太と舞のユートピアからスタートする。紘太の衣装を着せられているゴテゴテ感は、相変わらず苦笑を禁じえない。それはともかく、二人をおびやかし、地球を狙う敵役メガヘクスのスケールが大きく、残された者たちのドラマをきちんと描ききろうとする意欲はびしびしと伝わってくる。特にTVシリーズで充分に描き切れたとはいえない貴虎のドラマと、光実との兄弟タッグの勇姿は実に感動的だ。復活したメカ凌馬(青木玄徳)との決着もナイス。
そして、復活した紘太との共闘は、問答無用で熱い。主題歌の流れるタイミングに燃えた!
ストーリー自体のひねりはなく、アクションでひたすら押しまくる作劇ではあるが、それぞれの想いが迸り、なかなかの観応えである。
●『仮面ライダードライブ ルパンからの挑戦状』
巷を騒がす怪盗アルティメット・ルパン(綾部祐二)から、特状課に挑戦状が叩きつけられた。彼の目的は、“仮面ライダーの称号”。挑戦をうけた仮面ライダードライブこと特状課刑事、泊進ノ介(竹内涼真)は、ルパンに翻弄されながらも、とある古城に辿り着く。そしてそこでロイミュードかと思われたルパンの意外な正体を目の当たりにして…。
こちらはうって変って軽いノリで、刑事モノのスタイルを模したTVシリーズ同様、怪盗VS刑事の定番ストーリーが展開。この異なる世界観を直結させる極端な落差もまた本劇場版の妙味といえよう。
怪盗ルパン、転じて仮面ライダールパンを演じる綾部祐二(ピース)のワザとらしい芝居は、観ていてムカッとくるが、憎めないキャラではある。再登場に、ちょっぴり期待したい。
TVシリーズのツボを押さえたライト・ミステリー展開と、青臭い進ノ介の成長と相棒のベルトさんとの絆、そのベルトさんの秘密に踏み込んだ逸話、等々、さすが三条陸脚本、手際のよさで安心して観ていられる。(白倉Pのカメオ出演には、笑っていいのやら…)
アクション・シーンでは、魔進チェイサーとボス格のロイミュードが共通の敵に対し、一時的にドライブで手を貸すスペシャル感にベタながら震えた。
二つのエピソードを通して、“残された想い”のテーマを、始まりと終わりの違った角度からみせ、際立たせる仕組みも心地良い。
それらをつなげる敵の設定も、機械というキーワードでちょっとした整合性を与えており、この辺りの心配りもまたヨシだ。何より、個を否定して単一の個体にせんとする敵の思想が、(政治的な解釈は脇に置いておいて)敵も味方も個々のぶつかり合いと化した平成ライダーの時代性を否定する位置にいて興味深い。時代を経ても、仮面ライダーの宿敵は今も昔も独裁組織の“ショッカー”であるということか。
●『MOVIE大戦フルスロットル』
ラストの第3部は、究極の敵に向けて、鎧武とドライブが都合よく合流。タッグを組んで、悪を討つハチャメチャ・コラボを、ここまでくればもう楽しむだけである。前回、本パートがなかっただけに、うれしさ倍増だ。やっぱりこうでなくでは。
今回は夏の劇場版での顔合わせがなかったゆえ、鎧武&ドライブは初顔合わせ。それだけにコミカル度が増し、大いに笑わせてもらった。紘太もフリーターのあんちゃんのノリに戻り、妙になつかしい。互いが変身するオリジナル・フォームもケレン味たっぷりで楽しいのなんの!造り手のほくそ笑む顔が眼に浮かぶようである。
最終決戦の『トロン』風なCGも、ここまで振り切れば、テンション・アップだ。
コラボの醍醐味を文句ナシに堪能できよう。
ラストはきっちり『鎧武』パートで泣かせてくれる。こういうもうひとつのエンディングをちゃんともってくるところに、本作の重要性を感じよう。というか、これで真の決着である。
一方、『ドライブ』は、新キャラがお目見えしたり、中身の理解が深まったりで今後に期待をもてる。
こうしてみると本シリーズは、時期的にも内容的にも、増々いいとこ取りに見えてきた。
末永く本シリーズが続きますように。
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カラフルなフルーツを身にまとう戦国武者ライダー、爆走する車とメカニカルなライダーが入り乱れる、クラクラする画ヅラながら、しっかりドラマも堪能できる良品であった。
本作は、現役ライダーと前期ライダーがクロスオーバーする冬の劇場版『MOVIE大戦』シリーズ、早いもので第6弾。毎度記しているような気がするが、今一番面白い『仮面ライダー』劇場版といえば、本シリーズで決まりである。
理由を改めて記すと、約30~40分区切りの3幕構成がTVシリーズの体感時間に近くてまとまりがよく、春のお祭り映画のような「スケジュールのあう人だけ集めました」的なセコさもない。近々の2作である分、始まりと終わりの物語の補完という、きちんとした位置付けもあり、同時にダブル・ライダーのコラボという意味でも、純粋に楽しめる遊び心もある。今や、もう本シリーズだけで他の劇場版はいらないのでは?とすら思う。
はてさて、今年の出来や如何に…!?
●『仮面ライダー鎧武 進撃のラストステージ』
人類滅亡の危機を救い、遠く離れた惑星で新たな世界の創造主となった仮面ライダー鎧武こと葛葉紘太(佐野岳)と舞(志田友美)。ところが、二人の星に機械生命体メガヘクスが襲来し、舞を捕え、自らと星を融合してしまう。紘太の反撃もむなしく、その圧倒的な力の前に敗れ去るのであった。続いてメガヘクスは、地球を標的にし、沢芽市に降臨。唯一現存する戦極ドライバーをもつ仮面ライダー龍玄こと呉島光実(高杉真宙)と兄の仮面ライダー斬月こと貴虎(久保田悠来)が、果敢にメガヘクスに立ち向かうのだが…。
放送中は前評判ほど人気にはならなかったが、その様々な要素の詰め込みぶりと凝りようが、いずれカルト作に崇められるだろうポテンシャルを秘めた『仮面ライダー鎧武』。個人的には主役のキャラに愛着を持てず、芯が弱くていまいちノレなかったが、終わってみると「もう一度観直してみようかな…」と、つい惑う懐の深さは否定しようがない。
本編は、オーバーロードとなった紘太と舞のユートピアからスタートする。紘太の衣装を着せられているゴテゴテ感は、相変わらず苦笑を禁じえない。それはともかく、二人をおびやかし、地球を狙う敵役メガヘクスのスケールが大きく、残された者たちのドラマをきちんと描ききろうとする意欲はびしびしと伝わってくる。特にTVシリーズで充分に描き切れたとはいえない貴虎のドラマと、光実との兄弟タッグの勇姿は実に感動的だ。復活したメカ凌馬(青木玄徳)との決着もナイス。
そして、復活した紘太との共闘は、問答無用で熱い。主題歌の流れるタイミングに燃えた!
ストーリー自体のひねりはなく、アクションでひたすら押しまくる作劇ではあるが、それぞれの想いが迸り、なかなかの観応えである。
●『仮面ライダードライブ ルパンからの挑戦状』
巷を騒がす怪盗アルティメット・ルパン(綾部祐二)から、特状課に挑戦状が叩きつけられた。彼の目的は、“仮面ライダーの称号”。挑戦をうけた仮面ライダードライブこと特状課刑事、泊進ノ介(竹内涼真)は、ルパンに翻弄されながらも、とある古城に辿り着く。そしてそこでロイミュードかと思われたルパンの意外な正体を目の当たりにして…。
こちらはうって変って軽いノリで、刑事モノのスタイルを模したTVシリーズ同様、怪盗VS刑事の定番ストーリーが展開。この異なる世界観を直結させる極端な落差もまた本劇場版の妙味といえよう。
怪盗ルパン、転じて仮面ライダールパンを演じる綾部祐二(ピース)のワザとらしい芝居は、観ていてムカッとくるが、憎めないキャラではある。再登場に、ちょっぴり期待したい。
TVシリーズのツボを押さえたライト・ミステリー展開と、青臭い進ノ介の成長と相棒のベルトさんとの絆、そのベルトさんの秘密に踏み込んだ逸話、等々、さすが三条陸脚本、手際のよさで安心して観ていられる。(白倉Pのカメオ出演には、笑っていいのやら…)
アクション・シーンでは、魔進チェイサーとボス格のロイミュードが共通の敵に対し、一時的にドライブで手を貸すスペシャル感にベタながら震えた。
二つのエピソードを通して、“残された想い”のテーマを、始まりと終わりの違った角度からみせ、際立たせる仕組みも心地良い。
それらをつなげる敵の設定も、機械というキーワードでちょっとした整合性を与えており、この辺りの心配りもまたヨシだ。何より、個を否定して単一の個体にせんとする敵の思想が、(政治的な解釈は脇に置いておいて)敵も味方も個々のぶつかり合いと化した平成ライダーの時代性を否定する位置にいて興味深い。時代を経ても、仮面ライダーの宿敵は今も昔も独裁組織の“ショッカー”であるということか。
●『MOVIE大戦フルスロットル』
ラストの第3部は、究極の敵に向けて、鎧武とドライブが都合よく合流。タッグを組んで、悪を討つハチャメチャ・コラボを、ここまでくればもう楽しむだけである。前回、本パートがなかっただけに、うれしさ倍増だ。やっぱりこうでなくでは。
今回は夏の劇場版での顔合わせがなかったゆえ、鎧武&ドライブは初顔合わせ。それだけにコミカル度が増し、大いに笑わせてもらった。紘太もフリーターのあんちゃんのノリに戻り、妙になつかしい。互いが変身するオリジナル・フォームもケレン味たっぷりで楽しいのなんの!造り手のほくそ笑む顔が眼に浮かぶようである。
最終決戦の『トロン』風なCGも、ここまで振り切れば、テンション・アップだ。
コラボの醍醐味を文句ナシに堪能できよう。
ラストはきっちり『鎧武』パートで泣かせてくれる。こういうもうひとつのエンディングをちゃんともってくるところに、本作の重要性を感じよう。というか、これで真の決着である。
一方、『ドライブ』は、新キャラがお目見えしたり、中身の理解が深まったりで今後に期待をもてる。
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末永く本シリーズが続きますように。
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